療育アプローチ

科学的な研究によって効果が実証されている療育方法

応用行動分析(ABA=Applied Behavior Analysis)

ABA(応用行動分析学=Applied Behavior Analysis)の原理に基づき、さまざまな新しい行動の習得を助け、また挑戦行動を減少/除去させていくことで自閉症児をはじめとする様々な障がいをお持ちの方々が社会で機能できるように療育していく方法のひとつです。 
適切な行動には褒美を与え強化し、不適切な行動には強化を与えない(=消去)または不快な結果を与えることによって行動形成、修正を行います。また、個人の行動に対して結果をあたえるだけでなく、行動を誘発・助長しうる環境や刺激を前もって操作することによる積極的行動支援(PBS)にも重点を置いています。ABAに基づく自閉症児への行動介入の効果は科学的な実験によって証明されています。1987年にアメリカのロヴァース教授によって行われた実験によって、自閉症児への早期集中行動介入(EIBI:週40時間)がもっとも効果があることがわかっています。

絵文字交換式コミュニケーションシステム

(PECS=Picture Exchanged Communication System)
絵カードやシンボルを使い、機能的にコミュニケーションができるように助ける方法でABAの原理に基づいて使用されています。

社会生活ストーリー(Social Story)

状況判断が難しい社会生活のひとつひとつの状況をお話の形で表し、そのような状況に遭遇したとき、どのように行動すればよいのかを教える方法です。

TEACCH 

(Treatments and Education of Autistic and related Communication handicapped Children)
自閉症児特有の学習方法を生かす環境を作りその中で生涯にわたって支援していくプログラムです。例えば、自閉症児の多くは聴覚よりも視覚優位であることから、絵カードを使っての他者とのコミュニケーション、学校などでは異なる使用目的の場所を色で識別できるようにするなどです。

<

科学的な実験によって効果が実証されていない療育方法

対人関係発達法 
(RDI=Relationship Development Intervention)

スティーブン E. ガットステイ博士とその妻のレイチェル ガットステイン博士によって開発された自閉症児に対する新しい療育方法です。自閉症児の社会対人関係力やコミュニケーション能力を改善していくことに重点をおいた療育方法です。
絵画療法(Art Therapy)
言葉で表現するのが困難である内なる感情を絵画を通じて表現させることで、自閉症の症状を改善させていく療法。

音楽療法 (Music Therapy)

音楽視聴や音楽に合わせてダンスをしたり楽器を演奏したりすることによって自閉症の症状を改善させていく療法。

感覚統合
(Sensory Integration Therapy- Sensory Integration, SI or SIT)

脳に刺激を与え知覚、認知を改善することで、自閉症の症状が改善させていくとされる方法。

高気圧酸素療法(Hyperbaric Oxygen Therapy)

血液中の高い酸素分圧で発生した活性酸素の作用によって、白血球の殺菌作用が増強し血管の新生の促進をするなどの作用があり、生体のもつ自然治癒力を促進する方法で自閉症の症状も軽度にするとされる療法。

口唇動作訓練療法(Oral-Motor Training/Therapy)

顔の筋肉、唇、歯茎を鍛えることで、自閉症児の言葉の発音を改善させていく療法。

視覚療法(Vision Therapy)

視覚障害を改善させていく方法。

筆談(Facilitated Communication-FC)

口語コミュニケーションを持たない重度の言語障害を持つ自閉症児が、他者との会話を行う際に手助けとなる手段。

食事療法(Special Diets)

自閉症の症状に関連性のあるとされる特定の物質(乳製品、グルテン、糖、食品着色料など)を自閉症児の食事から完全に取り除くことで、自閉症の症状を改善させていく方法。

水銀排出療法/キレーション(Chelation Therapy)

体内中の水銀を排出させることによって、自閉症の症状を改善させていく療法。

頭蓋整骨療法(Craniofacial Therapy)

頭骨(頭蓋)と仙骨を操作して痛みを抑え、その他ガンを含むもろもろの病気を治療するとされる療法。

精神分析的遊戯療法(Psychoanalytic and Humanistic Play Therapy)

自閉症の原因として、過去に起こったつらい経験によって形成されたトラウマや自己の中にある葛藤であるとの考えに基づき、セラピストとの遊びの中で自閉症児に自分の持つ問題を表現させていくことで自閉症の症状を改善させていくことができるとされる療法。

抱っこ療法(Holding Therapy)

親が子どもをきつくしっかりと抱きしめることで、子どもが親の愛情を肌で感じ取り安心感を得ることで自閉症の症状が改善すると信じられている療法。

聴覚統合訓練(Auditory Integration Trial)

聴覚障害を改善させていく療法。聴覚異常が自閉症児のもつ挑戦行動のひとつの原因であるとの考えに基づき、聴覚の問題を改善することによって自閉症の症状を改善させていくことができる方法として知られている。

動物療法(Animal Therapy)

乗馬やイルカと一緒に泳ぐことなど、動物との交流の中で自閉症の症状を改善させていく療法。

ハーブ&ホメオパシー(類似)療法(Herbs and Homeopathic Treatments)

ハーブや体内に元々存在する物質を摂取することによって、体内を解毒し免疫力を高め脳を活性化させることで、自閉症の症状を改善させることができるとされる療法。

ビタミンとサプリメント(Vitamin and Supplement)

各種のビタミンやミネラル、その他さまざまな栄養サプリメントの摂取により自閉症の症状を改善させていく方法。

磁気療法(Magnets)

睡眠中に磁気の入ったマットレスやブランケットを使用し、体内のエネルギーの流れを変えることによって、自閉症の症状を改善させることができるとされる方法。

薬物療法(Medications)

自閉症児の攻撃性、執拗な癇癪、自傷行為、多動性などを、主に精神薬投与によって抑制すること。

DIR(Developmentally-based Individual difference Relationship-based Intervention)

グレイーンスパン博士によって開発されたプログラムです。養育者が子どもの目線に合わせて社会的関わりを促すフロアタイム(Floor Time)を通して子どもとの情緒的な発達を促すことを目的としています。

RPM(Rapid Prompting Method)

発語の無い発達障がい児に対し、アルファベットを眼で追ったり、一部の身体の動きと言葉を連合させたりすること(例えば右手が動けば「Yes」)によって、コミュニケーションを図ろうとする方法です。

Developmental Therapy

訓練的な遊びを通して、運動、認知、社会性の発達を促す療育です。主なセラピーはDenver Model、PRMT、SCERTSが挙げられます。