ア行

インタースパーサルトレーニング(IST-Interspersal Training)

新しい課題を導入するとき、習得済みの課題と学習中の課題を混ぜ合わせて教えること。成功体験を繰り返し得られる学習条件のため、モチベーションを高く保ち、同時に問題行動を抑制しながら学習を進めていくことを可能にします。

カ行

拡張試行(ET-Expanded Trail)

SDを意図的に習得済み課題と織り交ぜながら出す方法

過剰修正法/オーバーコレクション(Overcorrection)

挑戦行動が起こった後にその挑戦行動によって変容、破壊された環境を元の状態以上に修復させる正の罰の一種です。
あるいは、挑戦行動をその行動の代替となる正しい行動を必要以上に練習させることによって修正させていくこと

課題分析(Task Analysis/TA)

複合行動をその一連の行動を構成する複数の簡単な行動に細分化(=スモールステップ)すること

飽和化(Satiation)

以前は強化子となっていたものが、何度も繰り返し与えられた結果その本来の強化子としての効力が減退、あるいは消滅してしまった状態のこと

逆行連鎖化(Backward Chaining)

課題分析によって細分化された複数の簡単な行動を最後の行動を最初に教え、逆順を追って最初の行動を最後に教えていく方法

強化 (Reinforcement)

行動に伴った結果によってその行動を起こりやすくさせ行動の頻度を上げる、あるいは維持させること

*正の強化(Positive Reinforcement)
行動が起こった後に強化子になりうる何かを与えることで、将来的にその行動の頻度を上げる、または同レベルの行動の頻度を保つこと

*負の強化(Negative Reinforcement)
行動が起こった後に嫌悪刺激などの何かを個人が存在する環境から取り除くことで、将来的に同様の嫌悪刺激を感じる環境下でその行動の頻度を下げること

強化子(Reinforcer)

行動を強化するためにその行動に随伴して与えるものを意味します。強化子のタイプや種類に制限はなく、行動が強化され、またその行動をおこしうる動機付けとなるもすべてものを含みます。具体的には個人が好む食べ物・飲み物、活動、自由時間、他者から褒め言葉などがあります。

強化スケジュール(Schedule of Reinforcement)

強化子を与える頻度のことで、大まかに分類すると(1)連続強化スケジュール、(2)間欠スケジュール、(3)消去の三つがあります。

*連続強化スケジュールでは、特定の行動が起こるたびに毎回強化することです。特に新しい行動を学習さるために用います。

*間欠スケジュール
特定の行動が起こったら時々に強化することです。特に習得済みの行動の頻度を一定に保つために用います。

*消去
特定の行動が一切強化されないことです。特に不適切行動の頻度を下げるために用います。

嫌悪刺激(Aversive Stimulus)

罰を含めた不快感をもたらすすべての刺激

行動介入(Behavioral Intervention)

行動を(良い意味で)変えるために個人や団体が、存在する環境を計画的に操作すること

行動連鎖(Behavioral Chaining)

複合的な行動は複数の簡単な行動が一定の順を追って連なり合いその行動を構成しているということ。

行動形成・シェイピング(Shaping)

分化強化の原理を応用し、充分に習慣化されていない習得中の複合的な行動を、少しでもその行動に近い行動がおこったときに強化することによって、段階的に望ましい行動の形成をさせていく方法です。順行連鎖化と逆行連鎖化の二つがあります。

サ行

叱責

挑戦行動が起こった後に与えうる言語的な正の罰です。叱責は、普段とは違う声のトーンを使い、挑戦行動を直接的にまた端的に非難するきつい言葉。

遮断(Deprivation)

強化子となりうるものにあえてアクセスできないようにすること。

消去(Extinction)

計画的に、また継続的に行動を無視することで、将来的にその行動の頻度を下げることを意味します。他者の注目を引くための不適切行動の対処法として特に有効です。

消去バースト(Extinction Burst)

消去の手続きに対する抵抗行為で、消去の対象の不適切行動が一時的に消去の手続きを採用する前の段階より悪化することです。消去に対する行動の悪化はあくまでも一時的で、消去バーストを経たのちその行動は沈静化します。

受容言語(Receptive Language)

表出言語以外のすべての言葉。

順行連鎖化(Forward Chaining)

課題分析によって細分化された複数の簡単な行動を、一番最初の行動から教え、順を追って最後の行動を最後に教えていく方法。

積極的行動支援(Positive Behavioral Support/PBS)

応用行動分析学(ABA=Applied Behavior Analysis)の原理に基づいて、行動を誘発しうる刺激や環境を操作することで、個人の行動を変えることが可能であるとする行動介入法です。挑戦(=問題)行動をもつ個人に対して、個人の挑戦行動のみに視点を置くのではなく、彼らを取り巻くすべての環境を考慮に入れ支援していくことがもっとも効果的な行動介入であるという考えで、罰のみに偏重した行動介入の代替手段としても認識されています。

タ行

大量試行(MT-Mass Trial)

連続してSdを5~8回出し課題を習得させる方法で、新しい課題や習得困難な課題に用います。

トークンシステム/エコノミー(Token System/Economy)

特定の行動が起こったときにトークン(例、ステッカー、スタンプ)を進呈し、ある一定数量以上の獲得トークンに対し強化子を与えることによって、その行動を強化する方法。

タイムアウト(Time Out)

挑戦行動が起こった後一定時間、強化を得られる機会を個人から剥奪することで、将来的にその挑戦行動の頻度を下げる負の罰の一種

タクト (Tact)

叙述言語のことで、「お腹が空いた」、「今日は暑いな」、「ヘリコプターが飛んでいるよ」など五感で感じる現象を描写するすべて言語活動

ハ行

*正の罰(Positive Punishment)
行動が起こった後に嫌悪刺激などを与えることによって、将来的にその行動の頻度を下げることを意味します。具体的な正の罰として、叱責、体罰、また過剰修正法などがあります。
*負の罰(Negative Punishment)
行動が起こった後に強化子などの何かを個人から取り除くことによって、将来的にその行動の頻度を下げることを意味します。具体的な負の罰として、タイムアウトやレスポンスコストなどがあります。

般化(Generalization)

習得された行動が環境や時間さらには超えて応用されること、さらには別の行動にも応用されていくこと。

表出言語(Expressive Language)

発声されるすべての言葉

プライミング(Priming)

前もって学習内容などを具体的に説明しこころの準備期間を許すことによって将来に対しての予測性を提供すること。

プレマックスの原理(Premack Principle)

高い頻度で起こる行動(好きなこと、得意なこと)は、低い頻度で起こる行動(嫌いなこと、苦手なこと)を強化することがあり、低頻度で起こる行動の頻度を高い頻度で起こる行動によって上げていくことが可能であるという法則です。高い頻度で起こる行動が低い頻度で起こる行動の強化子になりうるということです。

プロンプト(Prompt)

ターゲット(標的)行動に対して必ず正解、成功に導くために与えられる援助。

プロンプトフェーディーング(Prompt Fading)

過度にプロンプトに依存してしまうことを防ぐため、プロンプトを段階的に減少させていくこと。

ベースライン(Baseline)

行動介入を行う前の現状をいい、客観的なデータに基づいています。

弁別刺激(Sd-Discriminative Stimulus)

特定の反応を要求する(させうる)刺激物すべてを意味します。
具体的には、「~やって」や「○△ちゃん、こっち見て」などの指示に加え、マンドやタクトの言語活動を誘発しうるものや現象をも含みます。

マ行

マンド (Mand)

要求言語のことで、何か欲しいときに「ちょうだい」や他者に何かして欲しいことがあるときに「~して」と言う個人の要求を表現するすべての言語活動。
無誤学習・エラーレスラーニング(Errorless Learning)
新しい行動を教えるときに初めからプロンプトを与え成功させ同時にその行動を必ず強化し、その行動を習得させていく方法です。プロンプトフェーデングは、できるだけ早い段階で導入しプロンプト依存を防ぐことが重要です。

モデリング(Modeling)

実際にやって見せること(=デモ)を意味します。教える側が行動の手本になり、それを真似ることによって行動習得を達成させること。

ラ行

ラポール形成

信頼関係を作ること。ABAセラピーはセラピストと子ども、またその親御さんとの信頼関係という基礎の上にのみ成り立つものであるという考えのもとに、実際にセラピストが行動介入を行う前に充分な時間を費やし信頼関係を築くことをいいます。

ランダムローテーション(Random Rotation)

習得中の二つ以上の課題を無作為に混ぜあわせて試し、それぞれの課題の習得を確実にしていく手続き。

レスポンスコスト(Response Cost)

挑戦行動が起こった後、特権などの強化子を個人から剥奪することで、将来的にその挑戦行動の頻度を下げる負の罰の一種。